国会質疑:長崎屋・小野グループ

日本政治

154 – 参 – 財政金融委員会 – 2号 2002年02月01日

大門実紀史君 今日は、もう時間もわずかしかありませんので、ここにその元資料全部ありますけれども、お手元に配ったのは私のお話しする要点のメモといいますか、チャート図と、ほんの一部の資料です。裏付け資料は全部ここに用意していますけれども。そういう点で、そういうことでお聞き願いたいと思います。
 まず三つほど、もっとあるんですけれども、三つほどこんなことが許されていいのかということがありますが、時間の関係で先に三つとも、ちょっと長くなりますけれども、説明をさせていただきたいと思います。
 資料1ですけれども、これは何なのかといいますと、
長崎屋の中に不動産業務部門として長崎屋エステートという会社、そして陽光エステートという会社があります。ここには、各テナントの皆さんが各店舗に、長崎屋の店に賃借料を納めるわけですが、それを集めていくという仕組みになっています。
 まず第一点の問題は、テナントの皆さんは払うわけですけれども、長崎屋が、テナントの皆さんからもらったよりも過払い、過剰にこの両エステートにお金を払っている。これは裏付け資料がありますけれども、細かいこと、あと抜きますけれども、要するに今分かっているだけで、私が調べて分かっているだけで
年間約五十億円余分に払う仕組みになっています。
 例えば、新潟にあります
聖籠長崎屋の例で分かりやすく言いますと、あそこは四千七百坪あるんですけれども、四千坪、そのうちの四千坪ぐらいがテナントの部分なんですが、一坪当たりテナントの皆さんは七千円払っているんですね、七千円払っているんです。ところが、長崎屋はこのエステートに一万円払うんです。何で払わなきゃいけないのかってありますけれども、とにかく過剰に払うんです、過払いするんです。長崎屋そのものがもう第一勧銀の管理下にありますから、これは第一勧銀の判断私はあると思いますが、過払いさせると。この二つのエステートから第一勧銀が支払利息という形でそのお金を吸い上げると、これは事実資料ありますが、そういう仕組みになっています。
 
特にこの陽光エステートという会社は非常に不思議な会社で、これは九段にあるんですけれども、私見てまいりました。これはペーパーカンパニーです。三つの子会社書いてありますけれども、これもペーパーカンパニーです。驚きました。ポスト一つに、この三つの子会社はポスト一つなんです。この四つの会社は、たった一つのビルの一室です。ペーパーカンパニーを作ってやっているんです。この陽光エステートというのは、第一勧銀が長崎屋を事実上自分たちの管理下に置いてからわざわざ作られて、しかも不思議なことに、作られた当初から第一勧銀から百六十七億金を借りているという形になっている、こういう仕組みがわかりました。
 これは要するに何が問題かといいますと、長崎屋にとってはもらっていないものまで余分に払う、これは背任の疑いさえあるんですね。長崎屋に損失を与えているわけですから。これをだれがやらせたのかというのが問題ですけれども、私は第一勧銀にほぼ間違いないというふうな疑惑を抱いております。
 そういう形で長崎屋を、事実上自分の管理下にある長崎屋を使って資金回収をすると。これにはいろんな不思議な事実がありますけれども、何で過払いするのかと。これは営業支援だと、子会社の営業支援という形になっていますが、
この子会社だけが黒字なんですよ長崎屋エステートなんというのが。長崎屋グループで唯一黒字なんだけれども、そこに営業支援するという名目で金を出させて吸い上げているという問題が一つです。
 もう時間の関係で二つ目の問題を申し上げますけれども、資料の三ですね。これは大変大きな問題だと思いますが、コンビニエンスストアの
サンクス、これはもう有名なコンビニですけれども、これ調べてみましたら非常に不思議な取引になっております。
 このサンクスは長崎屋の子会社であったわけですけれども、九四年二月に長崎屋が福井市にあります
小野グループというところに百八億円で売却をしています。それが九八年十月にサークルケイ、いわゆるKマートですね、Kマートに三百七十億円で売却されているんです。これだけ見れば、ただ売っただけということですが、実はこの小野グループというのは、元々スチール製造とかの福井市の中小企業なんですが、どういうわけか今は第一勧銀が投資をして企業売買、企業の買収をやっている会社です。つまり、長崎屋は非常に安く、百八億円という安い値段で小野グループに売ると。
 このサンクスというのは、当時でも業界七番目の売上げがあった、一千六百億ぐらいあったコンビニなんです。百八億で売ること自体、非常におかしいと言われていたんですけれども、とにかく安く売った。それをサークルケイに転売して、二百六十二億の収益を小野グループに入る。小野グループそのものはお金を持っていませんから、第一勧銀の資金で売買やっていますから、その見返りが第一勧銀に入るという仕組みです。これも私は非常に背任の疑いがある事例だというふうに思います。
 何よりも問題なのは、三つ目の話ですが、これは資料の四です。これは謄本だけ用意いたしましたけれども、これは国民の税金が、国民負担が絡む問題ですので特に重要だと思いますけれども。長崎屋の、まあ謄本だけ見ると何のことかってありますが、要するに長崎屋の倒産の三日前に、当時国有銀行であった長銀に長崎屋から五十三億円の債権が譲渡されています。この三日前というのは、先ほど申し上げましたとおり、倒産したのが二〇〇〇年の二月の十三日ですから、二月十日のことなんですけれども、倒産三日前に長崎屋が五十三億円もの債権を当時国有化段階にあった長銀に譲渡したということです。
 この二月十日というのは何の日かといいますと、これは非常に意味のある日でして、次の謄本の後ろに付けてありますけれども、預金保険機構に対して長銀がいわゆる損失補てんといいますか、特例資金援助、要するに国民負担でお願いする、その申請日なんですね。申込日なんです。つまりこの二月十日、つまり、国民負担で長銀が処理してもらえるのに駆け込み的に長崎屋は長銀にこの不良債権、恐らくもう間違いなく不良債権でありますけれども、譲渡したということなんです。
 なぜ不良債権というのが明らかかといいますと、この登記簿謄本見てもらって分かるとおり、これはちょっと専門的になりますけれども、債権譲渡特例法というのが御存じのとおりございまして、これは、不良債権をできるだけ手続を簡素化して、あるいはバルクセールをやるために、大量に処理するために、登記さえすれば移せるというのがこの特例法なんですけれども、これを使っているんですね。これを使っているということは、すなわち不良債権を処理するための仕組みを使っているからこれは不良債権に間違いないんです。長崎屋は自らの、実質的に言えば第一勧銀は、自らの不良債権をこの長銀の特例資金援助に間に合わせるように駆け込み的にこの日に間に合わせて譲渡したと、これは資料から明らかなわけであります。
 時間の関係で一つ一つ聞かないで一遍に申し上げましたけれども、初めて大臣もお聞きになるということになると思いますが、私、これ非常に重要な問題を抱えているというふうに思います。特に長銀の問題含めて、この経過について金融庁として第一勧銀、少なくとも、調査の前の段階で結構ですが、第一勧銀を呼ばれて事情を聞かれるべきではありませんか。大臣。

○副大臣(村田吉隆君) いや、私からまずそれじゃお答えいたします。
 ただいま大門委員からの御指摘の件でございますけれども、資料によりまして御説明をいただきましてありがとうございました。しかしながら、御説明、御質問のあった件につきましては個別の銀行の個別の取引にかかわることでありますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、最後の点でございますけれども、一般論として申し上げますれば、特例資金援助額につきましてそうした決定があって、その後に弁済とか保全がある場合には調整がされると、こういうことになっているということをお答え申し上げたいと思います。

大門実紀史君 私は具体例でお聞きしているんですけれども、一般論を聞いているんじゃないんです。大臣、どうですか。これは公的資金を約一兆円も受けている銀行ですし、非常に長崎屋といいますか、実質的に勧銀が入っているわけですが、長崎屋自身で言えば背任の疑いもあると。これは監督責任あるんじゃないんですか、これ、当然。大臣の考えをお聞きしているんです。座っていてください。もう時間ありませんから、大臣、最後お答えください。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 極めて具体的な話を聞かせていただきました。ただ、個別の取引について我々が一々コメントをするということはやはりいろんな差し支えもありますので、これは控えさせていただいておりますが、いずれにしましても、私どもは、銀行につきましては、業務の適切性に疑義が生じた場合には、必要に応じてまず二十四条の報告を徴して、それからもし更に改善すべき点があれば改善させる等々、それにまず引き続く手続も規定されておりますので、仮にそういうようなことがあればそういう対処を適切にいたしたいと、このように考えています。

大門実紀史君 報告を是非お願いしたいと思いますし、資料ここにありますから、担当官私の部屋へよこしてください。全部お見せしますし、調査する必要のある事例だというふうに申し上げておきたいと思います。
 マスコミも動いておりますので、もうBSEにしろ外交機密費にしろ、マスコミで取り上げられてから動くのが今までの政府でしょう。これだけは主体的にやったらどうですか。是非このことをお願いして私の質問を終わります。

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