■糺の森
糺の森(ただすのもり、糺ノ森とも表記)は、京都市左京区の賀茂御祖神社(下鴨神社)の境内にある社叢林である。
賀茂川と高野川の合流地点に発達した原生林で、およそ12万4千平方メートル(東京ドームの約3倍)の面積がある。森林の全域が1983年(昭和58年)に国の史跡として指定を受け、保存されている。また、1994年(平成6年)には下鴨神社全域が世界遺産に登録されている。
概要
……
「糺の森」の「ただす」が何に由来するのかという点については諸説ある。「偽りを糺す」の意とするほか、賀茂川と高野川の合流点であることに起因して「只洲」とする説、清水の湧き出ることから「直澄」、多多須玉依姫の神名に由来するという説などの各説がある。他に、木嶋坐天照御魂神社(蚕の社)にある「元糺の池」、およびその周辺の「元糺の森」から遷された名前であるという意見もある。
……
景観
糺の森はその情景が平安時代の詩歌に詠まれるなど、古くより景観の美しさを愉しむ場としても親しまれてきた。著名な尾形光琳作の国宝「紅白梅図屏風」(右図)も、御手洗川とその辺の梅を描いたものである。
■賀茂御祖神社
賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)は、京都市左京区にある神社。通称は下鴨神社(しもがもじんじゃ)。式内社(名神大社)、山城国一宮、二十二社(上七社)の一社。旧社格は官幣大社で、現在は神社本庁の別表神社。
ユネスコの世界文化遺産に「古都京都の文化財」の1つとして登録されている。
概要
賀茂別雷神社(上賀茂神社)とともに古代氏族の賀茂氏の氏神を祀る神社であり、賀茂神社(賀茂社)と総称される。賀茂神社両社の祭事である賀茂祭(通称 葵祭)で有名である。
賀茂別雷命(上賀茂神社祭神)の母の玉依姫命、玉依姫命の父の賀茂建角身命を祀ることから「賀茂御祖神社」と呼ばれる。八咫烏は賀茂建角身命の化身である。
付属施設に糺の森(ただすのもり)、みたらし池がある。
祭神
東殿:玉依姫命 (たまよりひめのみこと) – 賀茂別雷命(上賀茂神社の祭神)の母
西殿:賀茂建角身命 (かもたけつぬみのみこと) – 玉依姫命の父
■木嶋坐天照御魂神社
木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)は京都市右京区太秦にある神社である。式内社で、旧社格は郷社。祈雨の神として信仰を集めている。
通称木嶋神社(このしまじんじゃ)。また、本殿東側に織物の始祖を祀る蚕養(こかい)神社があることから蚕の社(かいこのやしろ)の通称が広く知られている。
……
歴史
……
この神社がある嵯峨野一帯はかって朝鮮半島を経由して渡来した秦氏が製陶、養蚕、織物などの技術を持ち込んだ。蚕が祀られているのもそれゆえである。
……
社殿
……
社殿の西にかつては湧水が豊富であった「元糺の池」(もとただすのいけ)という池の中に三柱鳥居(三ッ鳥居)がある。柱が三本で三正面、上からの形は三角形となっている鳥居は珍しい存在であり京都三鳥居の一つとされている。これも起源不明ながら現存するものは天保2年(1831年)に再興されたものである。