■大沢商会、マミヤ光機の倒産に関する質問 提出日-1984年4月17日
■質問本文(html)
■答弁本文(html)
■質問書-安恒良一議員
大沢商会、マミヤ光機の倒産に関する質問主意書
東京都港区芝浦四ノ二ノ八に本社を置く株式会社大沢商会(以下「大沢」という。)と東京都文京区大塚三ノ三ノ一に本社を置くマミヤ光機株式会社(以下「マミヤ」という。)の会社更生法の申立てに基づく倒産に関して、質問する。
一 「大沢」と「マミヤ」の倒産は、東京都新宿区新宿四ノ三ノ一七に本社を置く株式会社コスモ・エイティ(以下「コスモ」という。)と埼玉県入間市下藤沢一二九四番地に本社を置く株式会社オリムピック(以下「オリムピック」という。)が「マミヤ」の株を三〇パーセント取得し、「マミヤ」の経営権を実質的に支配してからのものであるが、「大沢」「オリムピック」「コスモ」「マミヤ」の関係と現状並びに「大沢」「マミヤ」の会社更生法に基づく手続の進行状況について明らかにしていただきたい。
二 「大沢」倒産直後、「コスモ」の碓井優社長が詐欺倒産であるといつて大沢を非難した発言をしているが、その事実関係と詐欺倒産かどうか法務省の見解を明らかにしていただきたい。
三 「マミヤ」には、従業員で組織している総評全国金属労働組合埼玉地方本部マミヤ光機支部(浦和市西堀日向一九、執行委員長川村元男、以下「支部」という。)があり、聞くところによると支部は「マミヤ」の再建に全力をあげているが、保全管理人(山本晃夫弁護士)と支部との間で一部工場の分離などについて意見の相違があるとも聞いている。
これらの件で紛争が起こることは、「マミヤ」の再建にとつて障害になると思われるが、労働省として保全管理人並びに支部に対し、労働組合法及び労働基準法並びに労働協約を尊重するよう指導を行い、労使紛争を未然に防ぐべきだと考えるが、政府の見解を明らかにしていただきたい。
また、「マミヤ」「大沢」の保全管理人が昭和四十二年七月二十日参議院法務委員会(会議録第十六号)における保全管理人の職務についての政府答弁の範囲を越える行為をしているとして、総評全国金属労働組合(東京都渋谷区桜丘町一五ノ一一、中央執行委員長橋村良夫)並びに支部が東京地方裁判所民事第八部に上申していると聞いているが、その事実と対策について明らかにしていただきたい。
四 「マミヤ」の再建をするには、特に「コスモ」「オリムピック」と金融機関である富士銀行、日本興業銀行、東京都民銀行及び安田信託銀行などの支援が決定的であると思うが、これら関連会社及び金融機関の協力の状況について明らかにしていただきたい。
五 「大沢」「マミヤ」の倒産は、単にその会社の従業員、労働組合のみでなく、下請、関連取引先会社への影響は大きいので、政府、とりわけ通産省、労働省及び大蔵省はいかなる対策を行うのか明らかにしていただきたい。
右質問する。
■答弁書-内閣総理大臣 中曽根康弘
参議院議員安恒良一君提出大沢商会、マミヤ光機の倒産に関する質問に対する答弁書
一について
(一) マミヤ光機株式会社(以下「マミヤ光機」という。)は、同社で製造した写真機及びその附属品の海外における販売を、主要株主である株式会社大沢商会(以下「大沢商会」という。)の子会社である大沢カメラ販売株式会社を通じて行つていた。
(二) 株式会社コスモ・エイティ(以下「コスモ・エイティ」という。)及び株式会社オリムピック(以下「オリムピック」という。)は、昭和五十九年四月一日現在、マミヤ光機の株式を、それぞれ、四百九十万株及び二百六十万株保有していると聞いている。
また、コスモ・エイティの代表取締役社長碓井優及びオリムピックの代表取締役社長植田祐弘は、それぞれ、マミヤ光機の取締役顧問及び代表取締役相談役の任にあつたが、両名とも、既にこれらの役職を辞任していると聞いている。
(三) 大沢商会は、昭和五十九年二月二十九日、会社更生法に基づく更生手続の開始の申立て(以下「更生手続開始の申立て」という。)を行い、マミヤ光機も、同年三月五日、更生手続開始の申立てを行い、共に、現在、東京地方裁判所において審理中であると承知している。
二について
御質問に係る大沢商会の倒産については、その事実関係を承知していない。
三について
(一) 労使とも労働組合法及び労働協約を尊重すべきことは当然であり、双方が円満に話し合い、問題の解決に当たることを期待している。
また、労働基準法の遵守については、必要に応じ、適切な指導を行つてまいりたい。
(二) 総評全国金属労働組合、総評全国金属労働組合埼玉地方本部マミヤ光機支部等が、昭和五十九年四月九日、東京地方裁判所民事第八部に対し、マミヤ光機の保全管理人が保全管理人としての職務の範囲を超えて行為することがないよう指導監督権を適切に行使すること等について要請を行つたと聞いている。この要請に対する対策については、要請を受けた裁判所において検討されるべき問題であり、行政府として見解を述べることは差し控えたい。
四について
(一) コスモ・エイティ及びオリムピックは、マミヤ光機の再建に向けて、手形割引等により資金援助を行つていると聞いている。
(二) 関係銀行は、マミヤ光機の再建に関しては、東京地方裁判所の審理の行方を見守つているところであると聞いている。
五について
(一) 通商産業省としては、大沢商会及びマミヤ光機の更生手続開始の申立てに伴う関連中小企業の連鎖倒産を防止するため、東京通商産業局に「(株)大沢商会・マミヤ光機(株)関連中小企業臨時対策本部」を設置し、関係地方公共団体、金融機関等の協力を求めるとともに、関連中小企業に対し、中小企業倒産対策貸付制度、中小企業倒産防止共済制度等の積極的な活用について周知徹底を図つている。
また、大沢商会については昭和五十九年三月六日、マミヤ光機については同月十日、それぞれ、通商産業省告示で、中小企業信用保険法第二条第四項第一号に規定する事業者(いわゆる倒産企業)に指定し、関連中小企業が倒産関連特例保証制度を活用することができるようにしたほか、緊急時広域あつせん会議を開催する等下請取引のあつせんに努めている。
(二) 大蔵省としては、健全な企業の連鎖倒産を極力防止するため、昭和五十九年三月二日、民間金融機関に対し、政府関係機関と緊密に連絡を取り、遺憾のなきを期するよう全国銀行協会、全国相互銀行協会及び全国信用金庫協会を通じて指示するとともに、同日及び同月十日の二回にわたり、各財務(支)局に対し、政府関係機関、民間金融機関等と連絡を取り、遺憾なきを期するよう指示した。
また、国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対しては、通商産業省とともに、同月一日、中小企業倒産対策貸付制度の積極的活用を指示した。
(三) 労働省としては、大沢商会及びマミヤ光機が更生手続開始の申立てを行つたことに伴い、関連下請中小企業に雇用面での影響が生じるおそれがあるため、雇用保険法に基づき、昭和五十九年三月二十二日、両社を大型倒産事業主に指定し、両社の関連中小企業事業主が離職者の発生を防止するため休業や教育訓練等の雇用調整を実施する場合には、当該事業主に対し、雇用調整助成金を支給することができることとした。
また、今後やむを得ず関連中小企業から離職者が発生することとなつた場合には、同法に基づく各種給付金の支給等により、その再就職援助に遺憾なきを期してまいりたい。