[002/390] 198 – 参 – 外交防衛委員会 – 8号
2019年4月16日
○大野元裕
国民民主党・新緑風会の大野元裕です。
今日は、まずは、イスラエルによるゴラン高原の併合について外務大臣にお伺いをいたします。
イスラエルによる占領地、ゴラン高原併合に関する我が国の立場について教えてください。
○国務大臣(河野太郎)
一般に、国際法上、武力により占領した領土を一方的に併合する行為は認められず、我が国はイスラエルによるゴラン高原併合を認めない立場でございます。
○大野元裕
それでは、アメリカのトランプ大統領がゴラン高原の国際的な地位の変更を認めるような発言をされておられますけれども、この姿勢について我が国はどのように対応、評価されているんでしょうか。
○国務大臣(河野太郎)
先般のトランプ大統領によるゴラン高原をイスラエルの一部であるとする文書への署名と国連安保理決議との関係につきましては、これは一義的にはアメリカが説明すべきものと考えますが、我が国は、アメリカによるイスラエルの主権の承認は、関連する安保理決議、これは一九八一年に全会一致で採択された国連安保理決議第四百九十七号、イスラエルの法律、裁判権及び行政を占領地であるシリア領ゴラン高原において実施するとのイスラエルの決定が無効であり、国際法上の効力を持たないことを決定するという安保理決議とは相入れないというふうに考えております。
○大野元裕
私も同様に考えております。
他方で、ロシア、中国等の安保理諸国のみならず、EU、NATO諸国も含めて、こういったアメリカの立場については、併合の撤回等について言及している国も複数ございます。
特に、佐藤副大臣もおられますけれども、我が国、十七年間、UNDOFに部隊を派遣をしてきた国であり、その地域は国連安保理決議に従って兵力引き離しをしっかりと我が国も担当してまいりました。そういった意味では、私は、併合を撤回するよう直接イスラエルに対して申し入れるべきだと思います。
また、あわせて、ネタニヤフ首相、これ、最終的には恐らく、総選挙後どうなるのかは、政権についてはまだきちんとしたことは分かりませんけれども、総選挙が終わった後には西岸の併合すら行う、このように主張してまいりました。
係争地の法的な地位を一方的に変更し、安保理諸決議を含む、紛争を拡大するような措置を行うべきではないと、自制と関連安保理決議の履行、国際法の遵守を我が国としてもイスラエルに対して私は求めるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(河野太郎)
イスラエルのゴラン高原併合を認めないという立場は、ゴラン高原を併合した翌日に日本はそれを認めないということを明確にし、その後も一貫して維持してきているところでございます。そのことについて何ら変わりはございません。
また、御指摘の、ネタニヤフ首相が選挙期間中にヨルダン川西岸にあるユダヤ人入植地について述べたという報道は承知をしているところでございます。選挙期間中の発言でございますが、それに一々日本政府としてコメントするかどうかということはありますが、我が国はこのヨルダン川西岸におけるイスラエルの入植活動は国際法違反であり、即時かつ完全に凍結されるべきとの立場でございます。これは、イスラエルに対して首脳レベルを含めた会談の機会に入植活動の完全凍結というものを求めてきているわけでございます。
仮にイスラエルが入植地を併合するようなことがあれば、我が国としては二国家解決がこれまで以上に困難になるというふうに考えており、かかる基本的立場にのっとって、中東和平の実現に向けてこれは当事者としっかりと対話をしていかなければならぬというふうに考えます。